コラージュとは?

コラージュ(collage)は、「糊で貼り付ける」という意のフランス語の動詞「coller」に由来する用語です。

雑誌、新聞、布やガラスなどの異なる素材を組み合わせて、新しいイメージや性質を作成する技法です。

コラージュの歴史

技法自体は古くから存在しており、発祥を調べると紀元前200年頃の中国史まで遡るというんだから驚きです!紙の文化が始まった頃からコラージュという技法が既にあったという認識になります。

「芸術作品(絵画の技法)」として有名となったのは、1912年の「パピエ・コレ」という絵画技法です。

パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラック

現代美術における立体派の代表的な作家である「パブロ・ピカソ」と「ジョルジュ・ブラック」の二人は、1909年から1914年までの間協力してキュビズム作品を追及していました。

キュビズムとは、分かりやすく言うと様々な視点や角度から見たイメージを、一枚の絵の中に集合させて表現した技法のことです。

キュビスム…20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって創始され、多くの追随者を生んだ現代美術の大きな動向である。それまでの具象絵画が一つの視点に基づいて描かれていたのに対し、いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収めた。

ウィキペディアより

その過程で、1912年と1913年にかけて新聞紙などの紙や木片などを貼り付けた「パピエ・コレ」技法を駆使した作品を完成させました。
この「パピエ・コレ」に使用されている技法の多くが「コラージュ」の先駆けと言われており、パピエ・コレをより立体的に表現した技法が「コラージュ」とも言われています。

その後、瞬く間にコラージュは広まり、1991年にコラージュ芸術家たちで構成される機関が初めてヨーロッパで設立され、その2年後となる1993年から、フランスのパリで現代コラージュサロンが開催されるようになりました。

アンチコラージュの意義

コラージュに対する異論も存在します。
アンチコラージュ派は、「作者が自分の能力の欠如を隠すために他人の作品を使っており、オリジナルなアートではない」という立場を取ります。
彼らは、コラージュが単なる模倣であり、真の芸術性を欠いていると主張しています。

批判と反発
アンチコラージュのアーティストや批評家たちは、個々の作品においてオリジナリティと表現力が不足していると考えています。
他者の素材を用いることで、作者自身のアイデンティティが曖昧になりがちであると指摘されています。
芸術としての評価
一方で、コラージュを芸術として発表した「パブロ・ピカソ」と「ジョルジュ・ブラック」は、アートの歴史において高い評価を受けています。
彼らはコラージュを通じて新しい表現手法を確立し、それを立体派やキュビズムなどに展開させました。
芸術の多様性
アートにおいては、様々なスタイルやアプローチが認められています。
アンチコラージュの意見も芸術の多様性の一環であり、異なる視点からの批評がアートの発展に寄与しています。

アンチコラージュの論議は続いていますが、これによってコラージュ自体の意味や芸術における多様性が浮き彫りにされることもあります。

現代のコラージュ

今では、芸術のみならず医療や教育でも活躍する技法となりました。デジタルの発展と共にコラージュの表現方法にも変化が現れます。

心理療法としての発展
コラージュが心理臨床分野に導入されるようになったいきさつは明確になっておらず、1970年代初期のアメリカで作業療法のひとつとして導入されたとの噂があります。
当時アメリカやヨーロッパでは心理療法として様々な芸術的技法が試されていました。万人に通用する訳ではなかったためか、カルテにメモ書き程度にしか残されていなかったのも噂にとどまる原因の1つです。
日本でのコラージュ療法は、アメリカやヨーロッパとは違い独自の進化をとげます。
持ち運べる箱庭」のコンセプトをもとに1987年にふとした会話から大学教授の森谷氏によって研究開発し発表されました。簡単で適用範囲が広く、奥深い方法で、病院、教育、産業、福祉などさまざまな分野に適用可能とされています。
学校教育での発展
実施地域や年齢は様々で幼稚園児から高校生まで体験ワークとして行われています。
教育現場でのコラージュは、心理状態を分析するという目的ではなく、制作する中で心が開放されリラックスする体験や、他者からの言葉かけで感じる心への気づきを得るツールとして活用されています。
デジタルコラージュ
デジタルコラージュは、デジタルアートに属し完全にコンピュータで生成するもので21世紀のアートとも言われています。
フォトレタッチ・ソフトで制作され、インターネットの普及と共に認知度が増し、NFTアートとして高額落札されニュースにもなりました。

デジタルコラージュの進化

デジタル時代の到来とともに、コラージュは新たな展開を遂げました。
デジタルコラージュは、フォトレタッチ・ソフトを使用してコンピュータ上で制作されるアートの形態です。21世紀においては、これが新しいアートの方向性を示しています。

特徴と利点
デジタルコラージュは、物理的な素材を使わずにデジタル画面上で構築されるため、制作プロセスが効率的であり、修正や調整が容易です。
これにより、アーティストは無限の創造性を発揮し、異なるテクスチャやエフェクトを組み合わせて独自の作品を生み出します。
インターネットとの融合
デジタルコラージュの普及は、インターネットの普及と相まって、より多くの人々にアートを発信する機会を提供しました。
ソーシャルメディアやアートプラットフォームでのシェアが容易なため、アーティストは世界中の観客と直接つながり、作品を共有できます。
NFTアートの新展開
最近では、デジタルコラージュがNFT(非代替性トークン)アートとして注目を浴びています。
ブロックチェーン技術を利用して唯一無二のデジタルアート作品を証明でき、これによりアーティストに新たな収益の道を開くこととなりました。

デジタルコラージュは、技術の進歩とアートの融合により、新しい時代のアートシーンをリードしています。
これからもその進化に注目が集まりそうです。

まとめ

コラージュは芸術の世界だけでなく、心理療法や教育分野でも重要な役割を果たしています。
その歴史は古く、現代美術においてもキュビズムなどの運動に影響を与えました。アンチコラージュに対する意見も存在しますが、これは個々のアーティストや評論家の視点によるものです。

現代ではデジタルコラージュが注目を集め、アートの新しい形を作り出しています。個々の表現方法が多様であるため、幅広い分野で利用されています。

コラージュは創造性と表現の手段として、これからも多くの分野で注目を浴び続けるでしょう。

この記事のオススメ素材